​～１～

今から千年ほど前のこと。

里にはたいそう仲の良い夫婦(めおと)がおりました。

ある時、大きな大きな「いくさ」が起こりました。

山は焼け、里も一面、火の海となりました。

二人は逃げ回り、逃げ回り…

森にたどり着きました。

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深い傷をうけた妻は、

夫の介抱むなしく、息を引き取りました。

夫は嘆きかなしみ、

後を追おうとしました。

すると…

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大きな清らかな風と共に

空から声が響いてきました。

「お待ちなされ～」

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この声は、おおかみさま…？

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​（つぎへ）

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